こんにちは、遊佐です。
以前、クロケット&ジョーンズのおすすめカジュアルモデルを5つ紹介させて頂きました。
今回のブログでは、その中からPEMBROKE(ペンブローク)2をレビューしていきます。
ラインナップの中でも認知度は低い方ですが、個人的にクロケットの中でも最も好きかもしれないモデルなので、普段よりも1.5倍増しで徹底解説していきたいと思います。
- クロケット&ジョーンズの評価は?
- カジュアルに履ける革靴が欲しい
- フルブローグタービーのおすすめは?
【名作フルブローグダービー】クロケット&ジョーンズのペンブローク2をレビュー!サイズ感やコーデも紹介します。
CROCKETT & JONES
CROCKETT & JONES(クロケット&ジョーンズ)は1879年に革靴の聖地である英国ノーサンプトンで創業されました。当初はOEM生産のみでしたが1997年には培ってきた技術をもとにオリジナルブランドをスタートさせます。
優れたグッドイヤーウェルト製法と上質な革から成る靴は高い評価を受け、今では高級革靴ブランドの一角を担う存在にまで成長しています。
クロケットの強みは商品開発力。
木型の開発や改善に積極的で、圧倒的な商品ラインナップを誇ります。ショップ別注をあれほど柔軟に受けているブランドが他にあるでしょうか?
また近年では「シティソール」という独自のソールをハルボロ・ラバー社と共同開発しています。ダイナイトとレザーソールのハイブリッドのような仕上がりになっており、道具としての観点で使用者のことを考えてくれているデザインになってます。
いわゆる「高級靴ブランド」というのは様式美を重んじますので、伝統を守る傾向にあるのですが、そういう点ではクロケットは伝統を破り続ける革新的なブランドと言えるでしょう。
こういうとクロケットには守るべき伝統はないのかと思われてしまうかもしれませんが、伝統を破ることがクロケットの伝統だと個人的には思っていますし、だからこそ細やかなニーズに対応でき、多くの革靴好き達に愛されているのだと思います。
PEMBROKE2について
PEMBROKE(ペンブローク)2はフルブローグのダービーシューズです。
英国カントリーシューズの系譜を継いでおり、初代ペンブロークの頃からロングセラーになっています。
初代の頃は完全にカタログモデルになっていたので、存在自体を知らないという人も多かったのですが、メーカーが第二世代の販売に本腰を入れており、認知度も徐々に上がってきているみたいです。
ちなみによく「カントリーシューズ」と紹介されがちなのですが、カントリーのテイストを含んでいるだけで、カテゴリーとしてはフルブローグダービーです。
どちらも大きな単位でみると同じデザインなのですがよく見ると別物。カントリーシューズがいかにもカジュアルな雰囲気になっているのに対して、フルブローグダービーはドレスライク。
何故この違いをはっきりさせるかというと、この違いこそがペンブロークの特徴であるからです。デザインのアプローチとしては、トムブラウンのアイコンである黒のフルブローグに近いです。あの靴はカントリーシューズの雄「トリッカーズ」で作られており、そのボリューム感と無骨さはそのままにカントリーテイストを抑えたドレスデザインになっています。
ボリューム感や無骨さのあるドレスシューズという点が肝で、つまりペンブローク2とはカントリーシューズではなく、カントリーの「ボリューム感」と「無骨さ」をデザインとして取り入れ、面はあくまでもドレスライクに仕上げられている靴なんです。
こういう靴は大人の私服コーデにめちゃくちゃ合わせやすいので、持っておくと重宝します。
さてペンブローク2の肝についておさえましたので、その辺りを踏まえて詳細なデザインを次項にて紹介していきます。
デザイン
LAST375
とにもかくにも、まずは木型ですね。
ペンブローク2の木型にはLAST375が使用されています。この木型は名作LAST325のアップデート版で、比較的新しいものになります。
LAST325は元々カントリーモデルとして開発されており、厚手のソックスを着用する想定で作られているため、ボリュームがあるんですね。
となると、ごつい見た目になりそうなんですが、トゥがシェイプされてるため随分スマートな仕上がりになっています。この木型をローファーに採用してメガヒットを記録したのがキャベンディッシュでした。
本当に上手いこと作りました。カントリーの木型をタッセルローファーに採用する発想がいいですよね。
そしてLAST375は325のウェストから踵にかけて絞りを入れて、よりフィッティングを高めたものになります。
クロケットは数年前から古い木型やモデルを整理しており、LAST375はわかりやすいくらいに現在絶賛売り出し中の新鋭木型で、色々なモデルで使われています。
ボリューム感と無骨さ
ペンブローク2の屋台骨であるボリューム感と無骨さ。
これらはストームウェルト、シボ革、外羽根仕様、そしてダブルソールによって表現されています。
これらの要素はカントリーシューズのデザインではありますが、ご覧の通りカントリーな雰囲気はなく、先述したように「ボリューム感」と「無骨さ」を表現するに留まっています。
ソールはダイナイト。雨の日でもがしがし履けて助かります。
最近のクロケットはダイナイトやシティソールを積極的に取り入れており、実用靴としての側面を強めていますね。
絶妙なドレス仕立て
「ボリューム感」と「無骨さ」の表現が度を過ぎたりすると、超絶ごつい靴になりそうですが、そうならないようにドレス仕立てで調節しているのがペンブローク2の上手いところです。
ペンブローク2の肝である「カントリーくささを消すデザイン」を3つに分けて解説します。
まず1点目はカントリーらしさが出がちなストームウェルト。
ストームウェルトは迫力のある見た目になりがちですが、ペンブロークはコバの張り出しを控えており、カントリーシューズの無骨さが最小限に抑えられています。
逆に張り出しを抑え過ぎるとボリュームがなくなって本末転倒になるので難しいところなんです。
ストームウェルトを実装しつつ、ごつく見えないような絶妙なラインをついてますね。
2点目は鳩目。
カントリーシューズは4アイレットが基本ですが、ペンブロークは5アイレットを採用しています。意外と気付いていない人もいますが、ドレスとカントリーを明確に分けるかなり重要なポイントです。
内鳩目もポイントです。
カントリーシューズは鳩目が外側に付いており、これがカジュアルに見える大きな要因になっていますが、ドレスシューズでは鳩目が内側に付けられています。
ペンブロークにはこの内鳩目が採用されており、ドレスシューズのように作られているのがわかります。
最後の3点目は装飾です。
カントリーシューズは、迫力あるブローギングが特徴ですが、ペンブロークはブローギングにあまり目がいかないんですよね。
何故かというと、やはりここでも控えめなデザインが施されているからです。
メダリオンは親子穴になっているものの、その大きさは控えめで、内羽根のブローギングと大差ありません。
パーフォレーションも同様です。加えてギンピングも控えめで、ここもやはりドレスシューズ寄りのデザインです。
こだわりポイント
個人的に気に入っているポイントが、パーフォレーションの配置です。
フルブローグにはパーフォレーションが踵まで真っ直ぐ伸びた「ロングウィング」と呼ばれるものがあり、オールデンやアレンエドモンズなどアメリカ靴に見られるディテールです。
実はこのロングウィングが僕は好みではなく、ペンブロークのように土踏まず付近で落とすデザインが好きなんです。これは英国靴の特徴でもあります。
先ほど少し話に出しましたトムブラウンなど、僕はアメトラ自体は大好きなのですが、このロングウィングだけは避けたいディテールです。理屈抜きで好き嫌いの問題ですね。
このように考えると、ペンブローク2は代替性の低いモデルであることが分かります。
- ドレス仕立て
- ボリューム感がある
- ロングウィングではない
これら3つの条件を満たすフルブローグダービーは本当にないんですよね。
ペンブローク2とウェストンの590くらいでしょうか。590はペンブロークとどちらを買おうかと迷ったくらい魅力的な靴で、いずれ手に入れたいと思っています。
トリッカーズのバートンもボリューム感が最高に好みなんですが、カントリーテイストが強すぎてしっくりきません。もしどこかのお店がドレス仕立てで別注してくれたら買います。
サイズ感
【管理人の足の特徴】
サイズ | 26センチ |
---|---|
特徴 |
幅広でやや甲高 |
僕はサイズ7hを着用しています。
LAST375は足幅に余裕がある木型なので、幅広の足の人にも合いやすく、フィッティングに定評があります。
ですが前身の木型LAST325を履いたことのある人はちょっと注意が必要です。
「375は325の足幅をそのままに踵を小さくした」という説明を真にうけて325と同じサイズを選んでしまうと、痛い目に遭う可能性があります。
確かに足幅に関しては325のままで踵も小さいのですが、踵を小さくするためにウェストからぐっと絞り込まれている点を見落としがちです。このせいでフィッティングがまあまあ変わります。
実際僕も、LAST325が採用されているキャベンディッシュはサイズ7を着用しており、ハーフサイズ変わるんですよね。
木型がアップデートされるとサイズ感が変わるということは念頭に置いておくべきです。
もちろんサイズが変わらない人もいますが、僕のような事例がありますので、前作と同じサイズで大丈夫だろという考えは僕を反面教師にして捨て去ったほうがいいです。
参考までに管理人が履いているクロケットの木型を記載しておきます。
※全てEウィズ。
LAST337(ハンドグレード) | サイズ7h |
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LAST341(ケントやコベントリーなど) | サイズ7 |
LAST348(ハラムなど) | サイズ7h |
LAST325(キャベンディッシュなど) | サイズ7 |
LAST375(キャベンディッシュ3など) | サイズ7h |
LAST376(ボストン2) | サイズ7h |
コーデ
OUTER:auberge
INNER:merz b.schwanen
PANTS:digawel
カーキのミリタリーシャツアウター、グレーのヘンリーネック、黒の厚手コットンパンツといった男臭さのあるアイテムで構成したコーデです。
靴のボリューム感と合うように、ゆったり目のサイジングを意識しています。
アウターを脱いで、もっとシンプルなコーデに。1900年代の労働者風なスタイル。
OUTER:lafavola
INNER:auralee
PANTS:digawel
ワークジャケットを使ったコーデ。
ペンブローク2はこういう粗野感のあるコーデをドレスアップさせるのに最適です。例えばこのコーデでスニーカーを合わせるのもストリート感が出てカッコいいのですが、色艶を出そうと思ったときには革靴がベストチョイスになります。
そして革靴でもローファーを合わせると繊細な雰囲気になってそれはそれでいいのですが、フルブローグダービーが持つ骨太な雰囲気が大人の余裕感を演出することができます。
綺麗に合わせていこうとすると、この靴は操れないかも。
パンツ丈もポイントです。
先程少し話に出したトムブラウンほどはやらなくていいですが、少し丈を短めに設定して合わせるとめちゃカッコいいのですおすすめです。
まとめ
- ペンブローク2はフルブローグダービーの名作。代替性が低くモノとしての価値が高い。
- ボリューム感と無骨さを土台に、ドレス仕立てのデザインが施されている
- 英国靴らしく、ロングウィングではないパーフォレーション配置が特徴。
- コーデはゆったり目のシルエットを意識。
デザイン的に春夏よりも秋冬に活躍する靴です。特に冬はソックス合わせを楽しみたいですね。