こんにちは、遊佐です。
「時代遅れ」と題されるファッション系コンテンツを目にしますが、そこでよく言われるのが、スキニー(スリムパンツ)が古くてダサいというやつ。
そしてお決まりのごとく「今はゆったり目のワイド系パンツがお洒落」という結び。
プロと称する人でさえ、そのように結論付けることが多いです。
さて果たして実際のところどうなのか?
そこで今回のブログでは、スキニー(スリムパンツ)はダサいのか?時代遅れなのか?について深堀りしていきます。
一方の立場の人がもう一方の立場を否定するのは簡単なので、普段スリムもワイドも穿く僕が50:50の目線で話していきます。
なお、スキニーとスリムは厳密には別物なのですが、最近の商品の名付け方を見ていても境界線が曖昧になっているので、それに則って話していきます。またその方が今回の表題の理解がスムーズかと思いますので、念の為前置きしておきました。
結論から言えば、ダサくないし古くもありません。
むしろ積極的に着用すべし。
- スキニーパンツは時代遅れ?ダサい?
- ワイドパンツは本当に必要か?
- 発信される情報を鵜呑みにしやすい
【時代遅れ?】黒スキニー(スリムパンツ)はダサいのかを徹底解説します
本当にダサい?
スキニーがダサいと言われる理由は、古い、時代遅れとみなされているからです。
ワイドパンツ、プリーツパンツなどゆったりめのシルエットのパンツがメインストリームにいることで、それまでその場所にいた真反対のシルエットであるスキニーは時代遅れ感が出るとされます。
時代遅れはダサイですよねという論じ方なのですが、問題はスキニーが本当に時代遅れなのかどうかということです。
スキニーを単純に時系列で見た時には確かに「古い」に分類されるのですが、そもそも新しいか古いかの分類の仕方がパンツに適してなかったとしたらどうですか?
というのもスリムはお洒落好きの人は今でもガンガン穿いていますし、僕もその一人です。かといってそれ以外のパンツを穿かないこともなく、冒頭で話したようにワイドパンツもよく穿きます。
こちらの記事でも書いていますが、パンツの種類は定番か流行りで分類されます。
なぜならパンツの形というのものはいずれも完成されており、普遍的だからです。言葉にするのもちょっと恥ずかしいですが「永遠の定番」というやつです。
そして現代ファッションの面白いところは、一極化が顕著だった昔と違ってさまざまなタイプのものが共存する傾向にあること。
つまり流行りだからといって、それしか選択肢がないとはならないんです。にも関わらず昔の感覚で時代遅れかどうかを論じるのは、その考え自体か時代遅れだと言わざるを得ません。
何が言いたいかというと、新しいか古いかといった上下関係が反映された分類方法はそもそも的を外しており、どのパンツも「いち選択肢」に過ぎないということです。
カッコいいかお洒落か
他にもこんな分類方法があります。
かっこいいかお洒落か。
パンツのシルエットは「かっこいい」か「お洒落」かに大別できます。
ゆったりめはお洒落なパンツではありますが、カッコいいかというとまた別。
逆にスリムパンツはカッコいいパンツですが、お洒落かどうかは別。
そして、たまにベン図の共通部分に属するパンツがあります。
上の記事でも書いていますが、なぜスリムパンツがカッコいいパンツなのかというと、足の形を綺麗に見せることができるからです。
インコテックスやPTのスリムパンツを穿いたことある人なら分かるかと思いますが、美脚効果と美尻効果が素晴らしく、カッコいいと思わず唸ってしまいます。
ですが「洒落てるな〜」とはなりません。
一方でワイドパンツはスリムパンツみたいに足をカッコよく見せることはできませんが、逆にカッコよく見せにいかないデザインが変化を生み、差異を作り、そしてお洒落につながります。
要はそれぞれの役割、得意分野があるということです。
野球でいえばストレートと変化球。ストレートも変化球も両方使いわけることで意味がある。
にも関わらず、どうしてどちらかに偏るのか、どうして一方を時代遅れとするのか正直理解に苦しみます。
もちろんトレンドは知っておくにこしたことはない。トレンドは楽しいし、先述したように選択肢を増やすことができる。
ですがあくまで選択肢の一つ。間違ってもトレンドを至上のものとしてはいけない。
まずはパンツの特性を知り、自分に似合っているものは何か、自分はどう思われたいのかを知ることが肝要。
「ワイドパンツはお洒落上級者」という表層的な言葉に惑わされてはいけない。
「古い」の本当
ここまでスキニーが古いという話にまったをかけてきましたが、古いと思ってしまう対象自体は存在します。
それがコーディネート、着こなしです。
パンツ自体は普遍的なものなのですが、着こなしはそうではないんです。
スキニー全盛の時代はこんな着こなしが流行ってました。
- 全身タイトフィット
- パンツの丈が短い
- 合わせる靴の形がシャープ
- ブーツイン
これらに共通して言えることは、「前のめり」の意識があるということ。
よく言えば熱心、積極的。悪く言えば鼻息が荒い。
抜け感ファッションが根付きかけている現代で、これらをやるとさすがに古く感じます。
着こなしは仕組み、枠組みという点で思考、哲学と同じで、時代によって正解が変わります。今の時代では良しとされていたのに、次代では否定されることもある。
時代は変わってるのに自分の知識や情報が更新されないまま現代の物事を語ったとき、「時代遅れの考え」が誕生します。
じゃあ何故スキニーが槍玉にあげられているのかというと、当時の着こなしの象徴だったから。着こなしの印象が鋭利であるために、その姿形の象徴とも言えるスキニーが映像として人の脳に強く焼きつくことに。本当は着こなしが古いだけなのにです。
人はなんとなくのイメージで物事を判断するもので、その判断元となる資料の信憑性はかなり曖昧なことが多いです。
着こなしを刷新する
物事全般に言えることですが、時代遅れのものはそのまま消え去ることもあれば、形を変えて再登場することもあります。
ファッションはトレンド回帰を繰り返しますが、なんで回帰できるんだろ、なんで古臭くないんだろと疑問に思ったことないですか?
昔のものが登場しても古臭く見えないのはその都度現代的にアップデートされているから。今だとY2Kファッションがいい例ですね。
スキニーも同じで、今となっては古くて時代遅れになっているスキニーの着こなしをアップデートさせることで、現代で通用させることができます。
じゃあ具体的にどうアップデートさせるか。
簡単にいえばカッコつけ過ぎない、色気を出し過ぎないということ。
昔は全身タイトで、イキった感じや張り切った感じが全面に出ていましたが、それは今の空気感とはそぐわない。
自然で、適度に力が抜けたリラックスという要素を入れることが現代的アップデートになります。
改めて古い着こなしをおさらい。
- 全身タイトフィット
- パンツの丈が短い
- 合わせる靴の形がシャープ
- ブーツイン
キメよう、格好をつけようという意識。
アップデート版
- トップスはゆったりめのサイズ感
- パンツ丈はジャスト
- 革靴はラウンドトゥ
- カテゴリーミックス
- ゆったりめのトップス
リラックス、抜け感、自然を装う意識。
これらを踏まえていざ実践。
着こなし例
シルエットのバランス
スキニーを穿くときのトップスはゆったりめがおすすめ。
当時とは真逆の着こなしになるので、それだけで古さがなくなります。
ただしゆったりし過ぎたり、オーバーサイズ過ぎたりしてボトムスとのコントラストがつき過ぎるのもよくないので、あくまで自然にやってください。
足元まわりを刷新
当時の着こなしで多かったのが細身のパンツに先細りの革靴を合わせること。
あれはかなりシャープな印象に見えて当時は格好良かったのですが、今となっては「きめすぎ感」が否めず、場合によっては下品な印象も出てしまいます。
おすすめはラウンドトゥを用いること。
適度にカジュアルな印象になり柔らかさが出ます。
カジュアル用の革靴はこちらの記事も参考にしてみてください。
もう一つ注意点がパンツ丈です。
当時はノークッションどころか、つんつるてんのような短丈で穿いている人が多かったですが、頑張っている感が壮大に出て痛々しいのでNGです。
ハーフクッション程度にしておきましょう。
カテゴリーミックス
スキニーの中でもダントツに時代遅れ、ダサいと言われる黒スキニーですが、それもやはり盲目的な見方。
単に着こなしが古く見えているだけです。
どういう着こなしが古く見えるかというと、同一カテゴリー内でのコーディネート。
つまり、「あの人のファッションは〜系」と明確に言えることができるということです。
例えばモードならモード、イタリアンカジュアルならイタリアンカジュアル、お兄系ならお兄系、美容師系なら美容師系といった具合に、自分はこのカテゴリーにいるという宣言みたいものをしてコーディネートすることで、スタイルの色を濃くして尖ろうとするのが基本動作だったんですね。
それ自体はいいと思うのですが、先ほども言いましたようにジャンルに偏った着こなしをすると、ジャンルの特性が最も反映されるアイテムが着こなしの象徴として目立つようになります。
じゃあどうすればいいのかと言うと、「あの人のファッションは〜系」とはっきりと印象付けないようにすることです。
ジャンル、カテゴリー、国を横断したカテゴリーミックスを覚えましょう。
例えば
- クラシック×モード
- ドレス×スポーツまたはアウトドア。
- イタリアン×アメリカンもしくはドメス
OUTER:woolrich
INNER:beauty & youth
PANTS:nonnatvie
SHOES:adidas
このコーデはもはや「〜系」かわからない着こなし。
アイテムの出自がバラバラで、カテゴリー、ブランドを壮大に横断しています。
故に象徴という概念が存在しない。
先ほども書きましたが、昔と違ってファッションの一極化はなくなりつつあります。
色々なスタイルが共存し、絡み合う。他ジャンルのものを組み合わせることで変化が生まれて面白い。また、一部の人には敷居が高いと思われてたカテゴリーの門戸が開かれるというメリットもあります。
そんな混ぜこぜでコーデは破綻しないのかと心配するかもしれませんが、あからさまなものはやはりNGなので経験は必要。
そして一見すると同一カテゴリーコーデも実は巧妙に自然にカテゴリーミックスされていることがあり、これはお洒落な人が基本的に備えているスキルで違和感なくスタイルを横断することができます。
【これだけは避けて!】
足が太いあまり、ぴちぴちになってしまう着こなしは気持ち悪いので絶対NGです。
そうなるくらいならスキニーは避けてゆったりめパンツを選んで足の形を誤魔化す必要があります。
パンツ選びの大前提として、必ず体型に合ったものを選びましょう。
まとめ
- スキニーは古くなったのではなく定番化しただけ。
- パンツは「新しい」か「古いか」ではなく、「流行」か「定番」かで分類される
- パンツの種類に優劣関係はない。それぞれが異なる役割を持っており、その都度必要なモデルを選択するだけ
- 古くなるのはアイテムではなく着こなし。アイテムは定番、普遍。
- 古いとされる着こなしはアップデートすることで現代的になる
新しいか古いかという分類はファッションビジネスが利益を生み出すために必要なものなのですが、消費者側からすれば操られているに過ぎず、適宜切り分けて考える必要があります。