こんにちは、遊佐です。
皆さんの服を買う基準はなんでしょうか?
値段、デザイン、ブランドといった基準があると思いますが、とこに価値を見いだすかは人それぞれですよね。
当たり前の話ですが価値感は人それぞれで、自分がいいと思ったものを選び、買えばいいと思います。
ですがその選択は、事実に基づかない思い込みや二次情報に影響されていることも多く、さらにその選択を正とする意見を述べてしまうと、思わぬ反感を買ったりしてしまいます。「よく聞く話だから自分もそう思っていた。でも実際は違っていた」なんてことはよくありますので、二次情報を素直に転用しがちの人、例えばブロガーの方なども要注意の話です。
そこで今回のブログでは、以下の点に基づいて服を選ぶ際の基準という話をしていきます。
- 消耗品か嗜好品か
- 原価率とコスパ
- ブランドの価値
- 服にお金をかけるのは無駄?
- ブランドの服はバカバカしい?ダサい?
- 原価が高い方がコスパがいい?
【それ勘違いかも】原価率の高い服はコスパがいい?ブランドの服はダサい?
消耗品か嗜好品か
「服にお金をかけるのは無駄」
「安い服はイケてない」
よく聞く声ですが、これだけ真逆の意見に分かれてしまうのは、洋服を消耗品か嗜好品のどちらで捉えるかで、その人の洋服への価値がまるで変わってくるからです。
消耗品として捉える人は物理的価値、つまり製造原価に重きをおくので、「ブランド力」といった付加価値を求めていません。当然、低価格である必要があり、同程度の品質ならより安い方を買います。高品質低価格、いわゆる高コスパの商品が最も刺さる層になりますね。
一方、嗜好品と捉える人は、3,000円で買えるパンツがあるのに、わざわざ30,000円出してパンツを買います。嗜好品に求めるのはコスパではなくワクワク感。それを着ることで得られる満足感、感動。付加価値というやつですね。ある程度コスパも求めるかもしれませんが、それよりもワクワク感があるかどうかのほうが遥かに重要なんです。
付加価値を作るのはブランド力。嗜好品型の人はこのブランド力を強く意識しています。
消耗品か嗜好品か。
物理的価値か付加価値か。
ここを切り分けて考えないと、「服にお金をかけるのは無駄」「安い服はイケてない」といった相反する意見をぶつけ合うだけの無益な論争が巻き起こります。
原価率とコスパ
これもめちゃくちゃ多いですね。
「原価率が高いからコスパがいい」とか、「原価が高いから質がいい」とか。
メーカーの中には、原価率を開示して、高原価率であることを訴求している企業もあります。
例えば、
原価率70%。他社と同じくらいの原価だが、「不要な」販管費を削り、他社よりも安い金額で販売している。人件費を入れず、お客様に利益還元していますと。
これを見て、もし感動というか、なんて誠実なんだと心動かされたとしたら、ちょっと心配です。というのも複雑なサプライチェーンにより、高原価率を謳うメーカーが開示している原価は、別のメーカーならもっと下げられる可能性があるからです。
これはより安い工場を選ぶとか、ロット数で製造原価が変わってしまうんだとかいう枝葉のショボイ話をしているのではなく、サプライチェーンを活かせていないということ。つまり、原価が高いのは自社の調達能力が低いせいなのかもしれないよということです。
例えば、2、3%程の費用を削るために商社を外して下手に直貿しようもんなら、結果的にコストがかかっているなどざらです。生産や調整、管理、金融といった商社特有の高度な機能を代替できてこそ、直貿の価値が出てきます。
まとめると、一口に原価率が高いといってもバックグラウンドが複雑怪奇になってるため、メーカーが高原価率を謳っても、もっと根っこの部分まで開示しないと実態がわからないというか参考にならないということです。
これはトレーサビリティの点でも同様で、ざっくりとした流れや、生産地しか記載されないことが多く、消費者が見えてないところが存在します。
この「原価率が高いからコスパがいい」という言葉を素直に受け止めてしまうのも、「原価」という言葉が問題なのかも。
というのも個人のブログを色々読んでいると、原価という言葉を使う際に、売上原価と仕入原価又は製造原価をごっちゃにして比較している人がけっこう多いです。
例えば、
小売店AはNBの仕入れ原価が60%で、PBの製造原価が30%で取得原価が32%、売上原価は50%。
小売店Bは仕入れ原価が60%で、売上原価は65%
メーカーCは製造原価が50%で、売上原価は51%。
原価の意味がそれぞれ違うのに、数値だけを拾って、「こっちの商品の方が原価率が高いからお得だ」とか言っていたらやばいですよね。加えて、その原価はどういうルートで、どういう取引条件で出来た数値なのかまで考えられると、公平な判断が下せるはずです。
少し話が脱線しましたが、「原価率が高い=コスパがいい」という話は、生産背景が複雑なアパレルにおいては成り立ちませんので、そこを価値基準にしないほうがいいです。
書かれている数字だけじゃ絶対にわかりません。
ブランドの価値
「ブランドのタグが付いているから高いだけやん」
「ブランド好きの人」
という半ば揶揄のような意見をよく見かけます。
側だけ整えて、中身はそれほどでもない。要するに中身の価値をわかっていない浅い人ですねという含みを持たせているのでしょう。
確かに分からなくもないのですが、これを言う人こそ浅い理解にとどまっていることが多いです。
そもそもブランドは、連綿と続く緻密なマーケティング活動の末にできるもので、決して一朝一夕に出来るものではなく、側だけ整えるという次元の話ではないんです。
芸能人やインフルエンサーを起用した派手なマーケティングばかりが目に浮かぶかもしれませんが、販売スタッフ、生産管理、在庫管理、物流にいたるまで、全ての要素がブランドを作り上げます。むしろ普段見えていない、地味かもしれないところが下支えしています。
そしてブランドは消費者と一緒に作っていくものでもあります。だからこそ消費者は信頼を寄せ、新商品の価値も約束されます。
ブランドのタグが付いているだけやんと言いますが、タグはいわば無形の付加価値を結晶化したもの。なので、ブランディングのことがわかっていたら、「そのタグがなかったら普通の商品でしょ」なんて言えるわけがないのです。
ここの理解がないと、偏った価値判断が生まれます。
これはセレオリ批判に対しても同じことが言えます。
このブランド価値と先ほどの原価率の話はつながってきます。
というのは先ほどの項目で、高原価率にするために削った、他社が上乗せてしている販管費は、今述べたようにブランディングに必要なものだからです。
会計の点で見ると、販管費は費用。つまり収益をあげるための種まきですよね。
費用は一律に悪とし、「コストカットせよ!」と吠えまくる人がいますが、必要な費用は積極的にかけるべきです。大局を見ずに目の前の銭を惜しんではいけない。
これは先ほどのサプライチェーンの中抜き思考と同じです。
中抜きしたバリュー分を自社が出せるどうかが鍵で、盲目的にコストを下げろとばかりに中抜きしても本末転倒です。
もちろん収益を一切生まない費用もあるので、ここはカットしなければいけません。
とにかくなんでもかんでも一律に考えるのはナンセンスということです。
僻みの心理
最後に小話です。
「プチプラでいい。ブランドものなんて別に興味ない」
という言葉をよく聞きます。
何者でもないただのいちブロガーとしてアドバイスさせてもらうと、こういうときは「プチプラでいいや」とのみ書いたほうがいいですね。
さもないと、本当はブランドものが着たいという心理を読まれてしまいます。
本当にプチプラがいいと思っているのら、ブランドものとの対比は発生しないはずです。
おそらくこの人の中での本当の価値基準では、ブランドものを着る人がプチプラを着る人よりも格上なんです。でも自分はブランドものを着ることができない。故に上記のような言い方をすることで価値基準を無理やりひっくり返しているんです。
価値の基準は人それぞれで、思うことは色々あるのでしょうか、どうか自分の中だけで完結させてほしいのと、自分の本当の気持ちに蓋をしないほうがいいですね。
まとめ
よほど書きたかったのでしょうか、約3,800文字、一瞬で書けてしまいました笑。
今回は本当はブランド紹介をしたかったのですが、タイムリーな時事ネタがあったので、急遽こちらの記事を先に書いてみた次第です。
ちなみに僕にとって洋服は嗜好品です。
持つ喜び、使う喜びを感じることが出来、人生が豊かになります。消費するだけだと存在しないこの二つの喜びを感じることが出来るんだから、儲けもんですよね。
人生は楽しんだもんがち。
洋服バカですね。