こんにちは、遊佐です。
ファッションブランドのシーズンコレクションは基本的には継続品と新作とで構成されているのですが、何年にもわたって継続されているアイテムはいわゆる定番として皆に認知されていることが多いです。
定番品はえてして知名度が高いものなので、初めてトライするブランドであれば、まずは定番から始める方も多いと思います。
僕にとっても定番は最初の一手になり得る存在で、定番という肩書きはその商品を選ぶにあたっての明確な後押しをしてくれるんですね。
今回のブログでは、この「定番」について話していきます。
定番は僕らに何をもたらしてくれているのか?何故後押しとなるのか?
定番はメーカー側と消費者側とで共有するものなので、それぞれのメリットという視点で話していきます。
また僕が実際に使っている定番名作もいくつか紹介したいと思います。このブログで以前に紹介しているものですので、それぞれの記事を改めてご覧いただけましたら幸いです。
- 定番の良さとは?
- 選択肢が多すぎて何を選べばいいかわからない
- 末長く愛用したい。またはリピートしたい。
【永遠の定番】メンズファッションの「定番」がもたらすものとは?流行に左右されない服を手に入れよう
メーカー側のメリット
ブランディング
まずはブランディングですね。
定番はいわゆる継続品であるため、多くの人に定期的にアプローチすることができ、記憶に残してもらやすくなる。そしていつしかブランドの象徴として認知されます。
この象徴という概念はブランディングにおいて絶対に必要で、フォロワーが情報をインプットしやすくするための記号のようなものになります。
財務
財務上でのメリットも大きい。定番故にデザインが経年劣化せず、評価損せずに複数年度での消化をはかれます。
また、素材のリピート生産や工場が安定稼働できるなど、生産コストにおけるメリットもあります。アウトソーシングの際は取引先にとっても毎年安定したお客さんになるわけなので、WINWINの関係に。
もちろん定番のみの展開だと変わり映えしない印象を持たれて特にアパレルでは飽きられてしまうので、新作とのバランスが大事なのは言うまでもなく、そのバランスはブランドによって変わってきます。重要なのは定番をどのくらいのシェアにするかということですね。
定番を作るというセオリーがある中で、定番を作らずに成功しているメーカーも存在します。
消費者側のメリット
安心感
まずは定番を選ぶことで得られる安心感。
何故定番が安心なのかというと、すでにお墨付きがあるからなんですよね。
自分自身が下す不確かかもしれない評価よりも、これ選んでおけば間違いないという、世の中の客観的な評価をあてにできるということです。このメリットはかなりでかいですよね。
そもそも漠然と毎年同じものを作り続けるだけでは定番たり得ない。毎年作ってこれ定番ですと身内で言っているだけなら誰でも出来るということです。
そこに消費者の意見が入ることで初めて定番が出来上がります。つまり、消費者の評価をくぐり抜けたものだけが定番となり、自然お墨付きが付くわけです。
個人ブログ記事が多いのも特徴です。
定番は消費者と一緒に作り上げるもの。
流行に左右されない
次に、流行に左右されず長持ちするということ。時間が経ってもデザインが劣化しないので、長く着れます。
いくらタフな素材による物理的な耐久力をもって長持しますという商品であっても、時間の耐久性が欠けていると、デザインが陳腐化して結局長く使えません。
なので本当の意味で長持ちさせたかったら、素材よりもまずはデザインの耐久力。時間の制約を受けないということがとても大事です。
デザインが変わらないので、いつ買っても今年買ったような気分になれるのも得した感がありますよね。
基準になる
定番は同一ジャンルにおける物選びの基準になります。後ほど紹介する定番品たちも全てそうなんですが、ここと比べてどうだろうかという物差しになるんですよね。
例えば競合ブランドとの優位性、差異性を狙うために、あーでもないこーでもないと独自の価値作りに励むわけですが、そんな商品で市場が溢れかえると、消費者は一体どれを選べばいいのかが分からなくなる。
単純にクオリティが高ければいいというわけではないというのがポイントです。
優劣といった縦の違いだけなく、横の違いをもって差別化をはかろうとするところが多いので、いよいよ基準が分からなくなるから。
そういう意味で、定番とは常に自分をニュートラルな状態にしてくれる基準となります。
たくさんの物の中から何かを選ぶというのは本当に難しいものなので、基準がある、すなわち比較できるというのはありがたい。
いつでも買える
最後に、いつでも買える安心感。
買い逃したとしても、継続品はまた来年に購入することができます。
セール品は期間後に店舗から倉庫に返品され、その後店頭に出てくることはありませんが、継続品は次年度以降も店頭に並びます。
継続品でもシーズンが終わると倉庫に一旦返却することになりますが、店舗によってはシーズンオフもストックし続けるので、店頭に並んでなくてもリクエストすればストックから出してきれくれます。
定番商品
ここからは定番品の紹介です。さくっと概要だけ書いていますので、詳細は記事をご覧ください。
IWCのパイロットウォッチ「マーク18」。
定番の中でさらに定番はどれかというマニアックなお題が生まれるやつ。居酒屋で語り合いたい定番です。
完売再販を繰り返すモデルで、眼鏡界の定番と言っても過言ではない。価格改定もなんのその。
大判ストールといえばこれ。
グレンフェルのラインナップは意外に?バリエーションがあるのですが、定番はやはりコート。その中でもダッフルコートBAKERは、とりわけ定番と呼べるもの。
12ゲージニットのポジションをとったモデル。迷ったらこれです。
グランサッソが12ゲージなら、ドルモアは8ゲージポジション。
ブランド人気を定着させた立役者で、サルトリアテイストの2プリーツパンツといえばまずはこれ。
ココシャネルの着画から着想を得たオーベルジュの「COCO」。記事タイトルにもあるように、ボーダーTの新定番です。個人的にはセントジェームスよりもしっくりくる。
ガンガン使ってもヘタレないタフさと陳腐化しない絶妙なシルエット。そして買い足し続けられる安心感。定番です。
最高のコインローファー。
Uチップの中では最も完成されているといっても過言ではないモデルで、まさに物選びの基準となり得ます。
チャーチの定番三傑。どれが欠けてもチャーチたりえないという意味では、三位一体ともいえる形をとるめずらしい定番。
ラインナップが多いクロケットの定番は自然多くなるわけですが、パッと思いつくモデルといえばやはりキャベンディッシュでしょうか。
多くの方にとっても定番と呼べるものではないでしょうか。コート系スニーカーの基準となるモデル。
まとめ
- 定番はメーカーにとって、ブランディングと財務の2点においてメリットがある
- 定番は消費者にとって、安心感、長持ち、基準値、リピートの4点においてメリットがある
定番から始まり定番に帰る。そういう意味では一周して分かる良さというものも定番の特徴で、味わい深いものがあります。