こんにちは。遊佐です。
以前の記事でこんなことを書きました。
少し振り返っておきます。
記憶の四行程とは記銘→保持→想起→忘却。
情報を記銘、すなわちインプットすると、脳内に新しい神経細胞の繋がりが出来ます。
神経細胞の繋がりが強化されると、インプットした情報が保持されやすくなります。
神経細胞の繋がりを強くするには、神経細胞間に何度も電気信号を流さなければなりません。
電気信号を流すとは、繰り返し記銘と想起を行うことである。すなわちインプット+アウトプット=反復練習をすることに他ならない。
そして、想起を怠ると神経細胞間を繋ぐシナプスが消滅し、記憶の状態は四行程の内の忘却となり、また最初から神経細胞の繋がりを作る、すなわち覚えなおしをしなけれないけなくなるのです。
これまで学習法を二回にわたって書いてきましたが、今回ご紹介する学習法第三弾は、神経細胞間の繋がりを強化するために必要な「記憶の想起」に焦点を当てました。
音読する
まず皆さんに質問です。
試験勉強をする際に教科書を読みますが、
黙読していますか?それとも音読していますか?
黙読している方の中で、教科書の内容が頭に入ってこない、覚えにくいという方がおられたら、音読に変えてみて下さい。
まず音読という行為を脳科学の見地から解説します。
音読をするには大きく3つの感覚を使わなければいけません。
- 見る
- 喋る
- 聞く
記憶4行程におけるそれぞれの状態は以下。
- 「見る」は記銘=インプット
- 「喋る」は想起=アウトプット
- 「聞く」は記銘=インプット
黙読だけだと1.のインプットだけの行為となり、記憶の保持状態=長期記憶となるには非効率です。
逆に音読は示した通り、「喋る」というアウトプットを増やしただけでなく、さらに同時に「聞く」というインプットを増やしています。
アウトプットとは運動。
そして運動に伴った記憶=手続き記憶は長期記憶化されやすいという性質があります。
さらに付け加えると、脳内のあらやる感覚を使うとそれだけ脳が活性化されることとなり、記憶の定着が加速します。
今回使っている感覚は、「見る」、「しゃべる」、「聞く」の3つです。
台本の台詞覚えなどは、まさしくこれですね。
それではこれをもう一歩おし進めた記憶想起の仕方を書いていきます。
これは一人では出来ないので誰か話を聞いてくれる人が必要です。
説明する
やることはシンプルです。
記銘=インプットしたことを、誰かに説明してあげて下さい。
今度は説明という行為を分解してみます。
- 喋る→アウトプット
- 動く→アウトプット
- 聞く→インプット
音読に比べて、動くというアウトプット数が1つ増えました。
説明する時は、身振り手振りという「運動」をしていませんか?
熱心に伝えるために、きっと体を動かしながら説明しているはずです。
反対にインプットの数が減っていますが、全く問題ありません。
元々、アウトプットの割合がインプットより多い方が記憶の定着にとっては望ましいのです。
何度も言いますが、せっかく作った神経細胞間の繋がりを強化するにはどれだけの想起=アウトプットが出来たかによります。
そして、説明という行為にはもう一つ重要な感覚が関係しています。
それは前頭連合野と呼ばれる、思考や判断を司る脳内で最も高次な器官です。
説明とは「分かりやすく伝える」という意味。
相手に分かりやすく伝えるためには、論理的に伝えなければいけません。
論理的思考を脳内で担当する器官が前頭連合野です。
つまり説明という行為には、聞くという聴覚連合野、短期記憶場所の海馬、長期記憶場所の側頭連合野、論理的思考の前頭連合野、運動の小脳といった沢山の器官が絡んでいる為、脳内が非常に活性化するんですよね。
この場合は特に、前頭連合野が働いているのがポイントです。
説明という行為の核となる論理的思考をするには、前頭連合野が活性化してしなければいけません。
脳内が活性化する「説明という行為」が記憶の定着にとっていかに有効な方法かということがお分かり頂けたかと思います。
まとめ
説明という行為をもっとフランクにしたもので、二人一組になってお互いに覚えたことを質問し合う「テスト形式」もオススメです。
- 鎌倉幕府を開いたのは誰でしょうか?
- 「我思う、ゆえに我あり」と唱えた人は誰でしょうか?
これらの質問に答えることで記憶の想起が行われ、記憶の保持、すなわち定着に繋がっていきます。
それでは最後にまとめます。
- 記憶の定着には「想起」=「思い出すこと」が重要
- 記憶の定着には、運動行為を混ぜるべし
- 記憶の定着には前頭連合野、ひいてはあらゆる感覚器官を使い、脳内を活性化させるべし