こんにちは、遊佐です。
皆さんは街中で着る用の洋服を選ぶとき、綿やウールなどの天然繊維か、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維のどちらの素材のものを選びますか?
おそらく多くの人は天然繊維のものを選ぶと思います。
だって天然繊維の方が生地の色味や表情が格段に良く、洋服として見栄えしますからね。
ですが化学繊維、とりわけポリエステルが持つ「耐久性の高さ」は魅力で、洗濯を繰り返して使用する洋服の素材としては実に頼もしい存在です。
そこで今回のブログでご紹介したいものが、強撚ポリエステルです。
まずは強撚とはなんぞやから始め、次に本題の強撚ポリエステルについて話していこうと思います。
- 強撚ポリエステルとは?
- ポリエステルの服はちょっと・・・
- 夏に適した生地は?
【お洒落顔】夏の服地には強撚ポリエステルがオススメです
強撚糸とは
強撚糸の読み方は「きょうねんし」。
この言葉を分解すると、「強」+「撚糸」となりまして、「撚糸」とは撚った=ねじった糸のことです。
普段僕たちが着ている洋服の生地に使われている糸は、基本的にこの撚糸なんですね。
天然繊維でも化学繊維でも原料を糸にした段階では細過ぎて使えないので、複数の糸をねじり合わせて1本の糸にすることで強度を増しています。
この撚りを強めた、つまり撚る回数を増やしたものが強撚糸です。
強撚糸は以下の特徴を持ちます。
- 強度が増す
- 吸湿速乾性に優れる
- シワになりにくい
- ハリやコシがでる
- 肌離れがよく、涼感が出る
- シャリッとした肌触り
これらの特徴を総合すると、強撚糸を用いた服地は夏の季節に向くということがお分かり頂けるかと思います。
ちなみに甘撚糸という撚りが弱い糸もあり、強撚糸と比べて強度が弱かったりソフトな肌触りなど真逆の特徴を持ち、適正シーズンも秋冬です。
さて、強撚糸はそもそもは強度を増すために作られたものですが、撚糸の加工技術が発達した現在ではユニークな生地感を出す意図で作られるものでもあり、撚りが強いか弱いかといった単純な話ではなくなっています。
強撚ポリエステル
表情と風合い
冒頭で話したように、ポリエステルは防シワ性や耐久性に優れますが、天然繊維に比べて生地の表情が無機質なので、見た目という点においては魅力に欠けると言わざるを得ません。
ですがその見た目を克服したのが、強撚ポリエステルです。
強く撚ったポリエステル糸で作られた生地は、麻やトロピカルウールのようなシャリ感のある風合いを持ち、表情が普通糸のものと比べてがらっと変わります。
しなやかな生地なのでドレープ感や落ち感も生まれ、エレガントなシルエットを描くというのもポイントです。
こちらはいわゆる普通撚ポリエステルの生地です。
強撚糸と比べて表情の違いが明らかですよね。
例えば、「このパンツはウールか麻の素材を使っているのかな」と思って品質表示を確認すると実はポリエステルだったなんて場合があったりしますが、そんな時は強撚ポリエステルが使われていることが多いです。
つまり強撚ポリエステルは、化繊が持ち得なかった生地感を備えることになり、天然繊維と比べて大きく見劣りすることがなくなります。
快適
ポリエステルに限らずですが、強撚糸の特徴として肌離れの良さがあります。
毛羽立ちが少なく体にまとわりつかないので、汗をかく夏にはもってこいなんですよね。
肌に触れてもシャリッとしており、涼感を味わえます。
耐久性
強撚糸ということで、ポリエステルの元々の特徴である防シワ性や、耐久性がさらにアップしています。
汗をかいたりする夏場は特に耐久性を求めたいので、この特性は非常にありがたいですよね。
個人的に最も恩恵を受けているなと感じるのはシワのなりにくさです。
パンツを1日履いていてもシワが入ることがほとんどなく、生地の復元力の高さを感じます。
洗濯できる
先ほど強撚糸のメリットばかりあげましたが、実はデメリットもありまして、それが洗濯による縮みやすさです。なので基本的にはドライクリーニングが推奨されているはず。
ですがポリエステルに関しては水をほとんど吸収しないため、強撚糸とはいえ水洗いが可能です。
実際に僕が持っているアイテムにも水洗いOKの品質表示が付いており、ケアの容易さという点にも優れているなと感じています。
オススメのアイテム
強撚ポリが使われるアイテムで実際に多く見かけるのがパンツやジャケットです。
これらのアイテムはなるべくシワが入るのを防ぎたいので、特に出張や旅行といった用途に関しては化繊素材のものが求められる傾向にあります。
ただこれまで話してきたように化繊はその見た目がファッション的に今ひとつなので、ここで強撚ポリエステルの出番というわけです。
特にパンツはオススメです。
というのも夏場はついショーツに頼りがちで、終わってみればショーツしか穿かなかったというシーズンもあったかもしれないほど、フルレングスのパンツを穿く機会が少ない人も多いはず。
バーサタイルのような素晴らしいショーツももちろんいいのですが、フルレングスのパンツを穿く機会ももう少し増やしていきたい。
そんなときに、強撚ポリエステルのパンツが活躍します。
上記の記事で紹介しているスティルバイハンドのパンツにも強撚ポリエステルが使われていますので、よろしければご覧ください。
お洒落な生地感だわ、涼感があるわ、シワは入らないわ、型崩れしないわで、夏を戦う人にとって最適な生地だと思いませんか?
こんな生地もある
強撚ポリの他にもお洒落な生地感を持った化繊があるのですが、その一つがソロテックスです。
ポリエステルがPETを原料にするのに対し、ソロテックスはPETの仲間であるPTTを原料とし、ポリエステルの上位互換のような特徴を持っています。
このソロテックスについて、ブロガーの服地パイセンさんが詳しく解説されている記事があります。
服地パイセンさんはその名の通り、服地のことを分かりやすく解説してくださっていますので、何か分からないことがあれば駆け込んでみてください。
ソロテックスの最も特徴的な点は、カシミアを超えるかもと言われる柔らかい風合いで、その見た目は化繊とは思えません。
ソロテックスのように化繊の開発技術が進歩してきているので、もし従来の価値観のまま化繊を避けていたとしたら、ちょっともったいないかなという感じがします。
天然繊維だとやはりトロピカルウールでしょうか。
まとめ
- 強撚ポリエステルは天然繊維に近い表情や風合を持つ
- 肌離れがよく、シャリッとした肌触りで涼感があり、夏に適している
- パンツやジャケットの素材によく使われる
強撚ポリエステルは僕の夏服に欠かせない素材です。