こんにちは、遊佐です。
今年はデニムにサイドゴアブーツを合わせたいなと思い、ウエストンのチェルシーを購入予定していたのですが、対抗馬のようにどこからともなく割って入ってきた一足に魅了されてしまい、即購入に至りました。
今回のブログは、F.LLI Giacometti(フラテッリジャコメッティ )のサイドゴアブーツ「FG597」をレビューしていきます。
ジャコメッティはこれが三足目で、増殖スピードが他メーカーよりも明らか速いところを鑑みると、相当好きなんだなと改めて思う次第です。
- F.LLI Giacometti(フラテッリジャコメッティ)の評判は?
- FG597、ひいてはオブリークトゥラストの詳細を知りたい。
- サイドゴアブーツが欲しい。カジュアルに使いやすいデザインで。
【魔性の一足】F.LLI Giacometti(フラテッリジャコメッティ)のサイドゴアブーツ「FG597」をレビュー!サイズ感も解説します。

F.LLI Giacometti
F.LLI Giacometti(フラテッリジャコメッティ)はイタリアのヴェネト州にあるシューズブランド。母体はOEMを生業としているファクトリーであり、オリジナルブランドとしてジャコメッティをスタートさせています。
F.LLI Giacomettiはイタリア語でジャコメッティ兄弟のことで、兄のルイジーノと弟のロベルトでブランドを運営していますが、そもそもは祖父が1890年代に靴工房を開いたのが始まり。この地域には登山靴などのスポーツシューズを作るメーカーが多かったのですが、そんな中でジャコメッティだけが紳士靴の道へ進むことになり、今では高級革靴メーカーへと成長しました。
ハンドメイドのクオリティの高さは業界でも評判で、多くの靴メーカーが生産を依頼しています。

ジャコメッティの靴はいわゆる高級革靴のカテゴリーに入るのですが、他ブランドと比べて立ち位置が少し特殊かもしれません。
例えば著名な英国靴ブランドがインポート系のセレクトショップで取り扱われることが多い中で、ジャコメッティはドメスのセレクトショップで取り扱いされていたり、大手だとBEAMSのインターナショナルギャラリーにあったりします。
これはつまりジャコメッティの靴が、その他のブランドのようにクラシックあるいはトラッド御用達のお堅い革靴として捉えられていないということです。
もちろんクラシックスタイルの足元としてはまるのですが、それだけにとどまらず、幅広いコーデ、ボーダーレスなコーデにはまる現代的なデザイン性を持っているということですね。
FG597
今回ご紹介するのはFG597というサイドゴアブーツ。Grigiaというオブリークトゥの木型が使用され、ジャコメッティお約束のハンドソーン製法で作られています。
素材にはキメ細かなカーフレザーが使用されており、おそらくデュプイ社のアニローカーフだと思われます。同じモデルでユタカーフが使われているものもあり、こちらの個体の方が多そうです。
冒頭で話したように、もう一目惚れでしたね。



シャープさと丸みが共存し、普通のようでどこか普通じゃないフォルム。こういう靴は得てして革靴の伝統性と革新性が融合されており、まさにモードクラシックの体を成しています。
モードクラシックはジャコメッティならではの形容ですが、今回はとりわけクラシックな雰囲気が普段よりも強めです。実は製作に当たって英国の古いビスポーク靴が参照されているらしく、それを聞いてなるほどと納得させられました。
その特徴的な要素の一つがオブリークトゥ。
オブリークトゥはトゥが親指から小指にかけて斜めに角度が付いている形で、いわゆるエジプト足と呼ばれるつま先の傾斜に合っており、指への負担が少ないです。

強めの内振りになっているのがわかりますね。この為、親指や小指への締め付けが和らぎます。
革靴は基本内振りになっているのですが、この靴はとりわけその角度が大きい。
中底の縦のラインと靴の中心ラインの角度の差があることで内振りとなるわけですが、これは人体工学に基づくと理に適った仕様で、歩く際に踵から外側へ重心が移動していくので、設置面の方向が中底の向きに合うと良いわけです。
ただし内振りが強すぎるのもダメなので程度の問題になります。

オブリークトゥはラウンドトゥでもあるので丸みが出るのですが、この靴の場合はチゼルトゥのようにつま先が前方に少し傾斜しており、シャープさも付与されています。これはこの靴のイメージを作る上で欠かせない重要なデザインです。
サイドゴアブーツはつま先がシュッとしたデザイン、それこそスーツに合うようなドレス度の高いものが多いのですが、そういったものはカジュアルには使いにくいんですね。
その点この靴はトゥのデザインが秀逸で、カジュアル使いしやすいドレス靴という絶妙なラインを突いています。

見ればみるほど不思議なフォルムで、木型Grijiaは相当ユニークな形をとっているのがわかります。その要因の一つがオブリークトゥで、もうひとつがハイアーチです。
ハイアーチはフィッティングの最大の肝とも言えるアーチ(土踏まず)部分をサポートして履き心地を良くする仕様で、実際に履いていてもフィット感が抜群に良いんですよね。
オブリークトゥとハイアーチの組み合わせといえば、エドワードグリーンの不朽の名作202が想起され、このあたりが英国らしさひいてはクラシックをイメージさせてくれるのですが、ジャコメッティはその雰囲気を残しつつ独自の進化を遂げているのが分かります。

最後にクリッピング。
見せ場ですね。鼻筋が通ったとても美しいお顔立ちをしています。
本当にエロい靴です。
様式美
人体工学に基づいた作りで、その通り履き心地に優れた靴なのですが、フォーカスしたいのはあくまでこのデザインの過程で生まれる美観です。
そもそも革靴って形が決まっているじゃないですか。大昔に既に形が完成されており、あるべき姿というものがあるんです。だからこそ職人の腕の良し悪しで差が生まれます。
とりわけジョンロブはその極地にいますし、サイドゴアブーツのローリーやケンジントンは「THE・美しい」なんですよね。
ですがジャコメッティはちょっと違う。

あるべき姿形に意図的に歪みや捻れを入れてきます。完璧な円ではなく少し崩した円を描き、そこに美を見出すようなデザインをしてくる。
これはいわばジャコメッティ様式で、今回の靴はとりわけその様式が強く出ていると思います。ジャコメッティの靴はいつも直感的に良いなと思わせてくるので、最近ちょっと魔性の女みたいに見えてきました。
芸術点◎です。
コーデ

JACKET:lafavola
INNER:auralee
PANTS:cantate
ワークジャケットとデニムを合わせた少し骨太感のあるデニムコーデ。
このブーツはその特性上、綺麗に合わせ過ぎない方がいいので、パンツはスリムタイプよりもレギュラーもしくはワイドフィットのデニムやチノなどを合わせてほんのりラギッド感が出るようなスタイルが良さそうです。

夏場は使うことがないと思いますが、ジャケットを脱いだときのタックインスタイルも様になるかと。

購入前にイメージしていたこの足元。
改めてアウトカーブが特徴的だなと。
サイズ感
サイズ41(26センチ相当)を履いています。
【管理人の足の特徴】
| サイズ | 26センチ |
|---|---|
| 特徴 |
幅広でやや甲高 |
幅広、外反母趾、ハイアーチの人と特に相性が良い靴です。
ちなみに僕の足ともかなり相性が良く、めちゃくちゃ履き心地がいい。
既製靴のフィッティングとしては言うことがありません。
参考までに他メーカーの靴のサイズを以下に載せておきます。
CROCKETT & JONES
※全てEウィズ。
| LAST337(ハンドグレード) | サイズ7h |
|---|---|
| LAST341(ケントやコベントリーなど) | サイズ7 |
| LAST348(ハラムなど) | サイズ7h |
| LAST325(キャベンディッシュなど) | サイズ7 |
| LAST375(キャベンディッシュ3など) | サイズ7h |
CHURCH’S
| LAST 173 | サイズ7h |
|---|
JOHNLOBB
| LAST 4395 | サイズ7h |
|---|
ENZOBONAFE
| ビットローファー | サイズ7 |
|---|
F.LLI Giacometti
| LAST Luigino | サイズ41 |
|---|---|
| LAST Rossa | サイズ41 |
まとめ
- F.LLI Giacometti(フラテッリジャコメッティ)はエレガントさと履きやすさ、素材の上質さ、そしてユニークさを併せ持ったブランド
- FG597はオブリークトゥの木型grigiaを使用したサイドゴアブーツ。英国の古いビスポーク靴をイメージさせる。
- 丸みとシャープさ、そして傾斜を併せ持った秀逸なトゥは大人のカジュアル使いにもってこい。
- オブリークとハイアーチから成るユニークなフォルムはジャコメッティ靴ならでは。
ブーツは脱着がめんどくさいですが、FG597はそんなことを言ってはいけないと思えるような素敵なブーツです。この冬、堪能します。