こんにちは。遊佐です。
やや過激なタイトルで始まりました今回の記事。
前回はこんな記事を書きました。
今回は、原始の頃から脳に刻まれているプログラムを利用した学習法第二弾です。
それでは早速いきましょう!
隣り合う器官
脳内には人の情動を司る大脳辺縁系という場所があります
この大脳辺縁系に、今回の学習において重要な役割を果たす器官が2つあるので簡単に解説しておきます。
海馬
これまでにも何度か解説していますが今一度。
海馬には今さっき経験したことや覚えたことを短期記憶として一時的に格納することが出来ます。PCでいうメモリです。
偏桃体
海馬の隣に位置する器官で、好き嫌いや快不快、恐怖といった感情を決める役割を担っています。
偏桃体が、海馬や視床下部(食欲や睡眠欲など人の本能を司る器官)から送られる情報を統合して感情の最終ジャッジを出すのです。
例えば、初対面の人なのに好印象を持つ時ありますよね。逆に苦手意識を持つ時だってあると思います。
こういった事例が起こるのは、過去に似たような人と関係性を持った経験がある為です。
このように海馬と偏桃体は非常に密接な関係にあるということを覚えておいて下さい。
それでは本題に入ります。
感情と記憶
連携プレイ
あなたが過去の記憶を遡っていく時に、思い出しやすいものにはなにかしら「強い感情」がセットになっていると感じたことはありませんか?
- 楽しかった時
- 悲しかった時
- 悔しかった時
そんな強い感情が発生した際にインプットした情報、経験は記憶に残りやすくなります。
この記憶システムを構築しているのが、先にお話ししました海馬と偏桃体の関係性です。
人は情報をインプットする際に、感情が動く、すなわち偏桃体のスイッチが入ると、一時的に海馬へと入った情報が側頭連合野(長期にわたる記憶の保管所)に転送されやすくなり、スムーズに長期記憶化します。
感情を解放せよ
では具体的に、どのようにして感情と記憶の結合を学習に活かすのか。
それは非常にシンプルな方法で、たった今からでも始められます。
学習中の特に記憶しておきたい場面で以下の言葉を声に出して下さい。
ポイントとしては、かなりオーバーに言うことです。
- できた!
- なるほど!
- そういうことだったのか!
- おもしろい!
- くそ!なんで間違えたんだろう!
問題が解けた時は、思いっきり喜んで下さい。
言ってる意味が理解出来た時は、思いっきり納得して下さい。
知らなかったことを覚えたときは、思いっきり驚いて下さい。
答え合わせをした時に間違っていたら、思いっきり悔しがって下さい。
そもそも学習中には必ず発生している、喜びや感心、驚き、悔しさといった感情を最大限に増幅させて、その際にインプットした内容を側頭連合野へと転送してしまうんです。
身振り手振りのアクションを追加出来たらさらに効果アップ。
なぜなら身体の動き、すなわち運動中にインプット、アウトプットする情報は海馬から側頭連合野へと転送されやすくなるからです。
海馬を守れ
今回の登場人物である海馬と偏桃体について重要なことを最後に書いておきます。
僕たちは普段から「ストレス」という見えざるモノと相対しながら生活していますよね。
ストレスを発生させる張本人こそ偏桃体なんです。
こんな書き方をすると偏桃体が悪者のように誤解されそうですが、偏桃体がないと、僕たちは生きていけません。
先述したように偏桃体は感情を決める器官です。
感情がないとどうなるか。
例えば恐怖という感情がないと、あたり一面に広がる命の危険を人は感知出来なくなります。
目の前に恐ろしい生物がいたとしても、恐怖を感じずにただ相対しているだけになるのです。
偏桃体が存在するからこそ、人は恐怖という感情を持つことが出来、目の前の生物は危険であると認識することが出来ます。
これぞ人類の生存率を上げる、脳に仕込まれた原始の頃のプログラムです。
とはいえ、ストレス反応が厄介なものであることには変わりありません。
何が厄介かというと、ストレスが海馬へ深刻なダメージを与えてしまうからです。
ここでストレスが体へ影響を及ぼす仕組みについて解説しておきます。
偏桃体がストレス命令を出すと、脳幹の本能を司る視床下部が反応。そしてすぐ下にある脳下垂体を刺激し、ACTHという副腎皮質刺激ホルモンを分泌させます。
それに刺激された副腎が副腎髄質ホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリン、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールを分泌させます。
これらのホルモンは別名「ストレスホルモン」とも呼ばれており、アドレナリンやノルアドレナリンは血圧と心拍数を上昇させ、ヤル気や集中力を高めてくれます。一方コルチゾールは血糖値の低下を防いだり免疫力を高めてくれたりします。
このストレスホルモン自体は人間にとって極めて有用で不可欠な存在です。
こうして発生されるストレスは頑張るストレスと呼ばれ人体にとって全く問題ありません。むしろ仕事や勉強がはかどるので、大いに活用したいところです。
ですがこれが慢性的に続くと非常にまずいです。
慢性的なストレス反応は、この3つのホルモンを過剰に分泌させます。
すると、自律神経失調症や下痢が起こったりします。また血糖値が上がり過ぎて免疫力が低下し始めます。
これが日々僕たちを悩ませる、我慢するストレスことキラーストレスと呼ばれるものです。
このキラーストレスが発生している時に過剰分泌されるコルチゾールが、海馬に甚大な被害をもたらします。
そもそも海馬は1年で約1%の速さで加齢と共に縮んでいきます。
加齢によって記憶が衰えていくのはこの為です。
そしてこの海馬をキラーストレスが襲うとどうなるか。
海馬の細胞が死滅して縮むスピードが加速します。
これはどう見積もっても看過できない事実です。
海馬が果たす役目は余りにも大きいので、海馬へのダメージは脳全体へのダメージといえます。
海馬の役目はまず記憶能力ですね。そして空間認識も司り、なんと偏桃体の制御システムとしても稼働します。
海馬が偏桃体をコントロールすることで、感情の暴走を防ぐことが出来るんです。
海馬が機能していないと、制御システムが機能しなくなった偏桃体はストレス反応を出し続け、さらに海馬にダメージを与えるという最悪のサイクルを作り始めます。
皆さん、キラーストレスを抱え込むことは絶対にやめましょう。
もしあなたが、そんなストレスがはびこる職場で働いているのであれば、今すぐ逃げてください!
「3年は働かないと・・・」とかいう過去の遺物みたいな理由は捨て去って下さいね。
それより海馬を守ることの方が万倍大事です。
まとめ
さていかがでしたでしょうか。
記憶する際には感情を同時に発生させると、学習が効率的にはかどります。
それでは最後にまとめます。
- 記憶と感情をそれぞれ司る海馬と偏桃体は大脳辺縁系のグループとして常に連携している
- 偏桃体が動くときに海馬へ記憶したものは、長期記憶として側頭連合野へと転送されやすい
- 故に、感情を発現させた時に学習したものは記憶されやすい
- 慢性的なストレス「キラーストレス」は海馬の縮小スピードを加速させて、機能不全に陥らす
- 記憶と感情制御を司る海馬をキラーストレスから守るべし
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。