ゆさん歩 trip & hobby

金沢と富山を元地元民の目線でご紹介。また趣味であるカメラ、ファッション、脳科学についても少し書いていきます。

脳内麻薬を駆使した学習法

こんにちは。遊佐です。

前回こんな記事を書きました。

www.yusanpo.com

脳内に仕込まれた「原始の頃のプログラム」が今も変わらず動いているという内容です。

今回の記事では、その原始の頃のプログラムを活かした学習法を示しました。

前半は脳内で起こる記憶、学習のプロセスを解説。

後半は具体的な学習法を脳科学の見地からお伝えしていきます。

それでは早速いきましょう。

記憶までの流れ

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まず記憶を担当する重要な脳内器官を紹介します。

前頭連合野

前頭葉、特に前頭連合野は脳内で最も高次な存在として知性や思考、判断を司っており、脳内の他の器官が感知するあらゆるモノの情報を統合して最終的に判断する司令塔です。

人間が人間として存在するための器官ですね。

海馬

海馬は人間の情動を司っている大脳辺縁系の一部です。

海馬には今さっき経験したことや覚えたことを短期記憶として一時的に格納することが出来ます。PCでいうメモリですね。

側頭連合野

側頭連合野は大脳新皮質の一部です。側頭連合野はこれまでに覚えた知識や経験が長期記憶として保管されている、いわばPCのハードディスクです。

 

www.yusanpo.com

短期記憶や長期記憶に関しては、こちらで解説していますのでご覧ください。

 

僕達が日々インプットする情報は、海馬を経て側頭連合野へと転送されることで記憶となりますが、なんでもかんでも側頭連合野へ転送されるわけではありません、

脳内の全ての判断を司る前頭連合野が、転送指令を出すことで、初めて短期記憶は長期記憶となります。

逆に側頭連合野から長期記憶を取り出す、つまり想起が行われる場合は、再びメモリである海馬を通すことになります。

 

まとめると、

海馬に一時保存された情報の内、「これは重要だ」と前頭連合野が判断したモノが側頭連合野へ転送される。

この流れだけ覚えておいて下さい。

次は情報が脳内で伝達されていくプロセスを見ていきます。

 

神経細胞の繋がり

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ニューロンとシナプス

僕たちの脳には、ニューロンと呼ばれる神経系を構成する細胞が約1000億個程あります。

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この画像が一つの神経細胞「ニューロン」です。

部位を簡単に説明します。

  • 左上の突起部分が「樹状突起」と呼ばれ情報をキャッチするアンテナです
  • その中心にある青く丸い物体は「核」で、ニューロンの本体になります
  • そこから右下に向かって伸びている部分が「軸索」で、後述する電気信号が通るケーブルのようなものです
  • そしてその先の末端部分がシナプスで、別の神経細胞へ電気信号を渡します

この神経細胞ニューロンが複雑に繫がり合って、巨大な情報伝達システムである神経細胞ネットワークを構築しています。

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僕たちがインプットした情報は電気信号となって、神経細胞間で伝達されます。

ここでは仮に、繋がっている二つの神経細胞たちを、神経細胞Aと神経細胞Bとします。

まず神経細胞Aのアンテナ部分「樹状突起」が情報の電気信号をキャッチ。

そして情報は軸索を通り、末端のシナプスを介して神経細胞Bへと伝達されます。

このシナプスは非常に重要なので少し深堀りします。

神経ネットワークの画像のように、シナプスは別の神経細胞と直接繋がってはおらず、ほんの僅かな隙間を挟んでいますよね。

この部分を拡大してみます。

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画像上方のシナプスから、なにやら怪しげなモノが沢山出ていますね。

これらはドーパミンなどの神経伝達物質と呼ばれるものです。

実は、電気信号はそのままの姿で神経細胞間を通ることが出来ないため、通過時は一時的に神経伝達物質にその身を変えます。

そして無事に通過できた時にまた電気信号に戻ります。

電気信号と神経伝達物質を互いに変換させる機能を持った存在こそシナプスなんです。

これまでのことを簡単に言うと以下のようになります。

  • 情報をインプットするということは、神経細胞間の繋がりが新たに出来るということ
  • 神経細胞間の繋がりが増えるということは、連結部分のシナプスが増えるということ

つまり覚えるとは、シナプスを増やすということです。

ここまでは大丈夫でしょうか?

さて、ここからが重要なポイントになります。

LTP

このシナプスは使えば使うほど連結機能が向上し、神経細胞間の繋がりが強固になります。

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恋人とだんだん仲を深めていくイメージですね。

「使えば使うほど」というのは、どれだけ情報が高頻度でシナプスを通過したかです。

そして神経細胞の繋がりが強固になると、記憶が長期記憶として保管されるようになります。

例えば、英単語「辞書=dictionary」を覚えた時を思い出して下さい。

dictionaryは英語を習いたての頃に出てくる単語で、けっこう覚えにくいスペルではなかったですか?

でも何回も何回もノートに書いていくと、いつのまにか覚えてましたよね。

この時の記憶の流れを、神経細胞ネットワークを使って解説します。

 

まずこの「辞書=dictionary」を初めて見た時に、新しくシナプスが誕生して神経細胞の繋がりが発生。

そして2回目、3回目と見たり書いたりしていくと都度、神経細胞間にdictionaryの情報が電気信号となって伝達されます。

 

ここで、書くという作業について補足しておきます。とても重要項目です。

この書くという作業はインプットと対を為すアウトプットと呼ばれるものです。

神経細胞間に電気信号を通すとは、インプットとアウトプットの両方を指します。

先述したように海馬→側頭連合野がインプットなら、側頭連合野→海馬がアウトプットです。

記憶の4過程においては、インプットは記銘、アウトプットは想起に当たります。

想起は本当に大事なのでいつも意識しておいて下さいね。

 

話を戻します。

電気信号を伝達するためにはシナプスが働かなければなりません。またシナプスの稼働はシナプス自身の機能を向上させます。

シナプスの機能が向上した結果、神経細胞の繋がりが強化され、ついにdictionaryは記憶されていくことに。

このシナプスの機能が持続的に向上するシステムはLTPと呼ばれています。

このLTPは、Long Term Potentiation=長期増強の略称です。

なんでこんな機能がシナプスに組み込まれているのでしょうか。

原始の頃のプログラムは、本当に凄過ぎます・・・。

しかしここで注意点が1つ。

持続的に強化可能のシナプスですが、使わないと消滅します

使わないというのは、「辞書=dictionary」を1回見ただけでその後何もしないことを意味します。

つまり、せっかくインプットした情報も復習しないと、せっかく作ったシナプスが消えてしまうんです。

なので復習、反復練習という学習法の原意は、シナプスを消さずに強化していくということでした。

ではこの復習の頻度とは一体どれくらいが目安なのでしょうか。

 

反復学習の頻度

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エビングハウス

ところで皆さん、エビングハウスの忘却曲線というのはご存知でしょうか?

ドイツの心理学者「ヘルマン・エビングハウス」が1885年に発表した、人間の忘却の経過を時間ごとに表したものです。

忘却とは、「記銘、保持、想起、忘却」から成る記憶の一過程です。

忘却曲線においては、インプットした情報は1時間経つとその半分以上が忘れ去られることを表しています。

その後も徐々に忘却は進み、1カ月経つ頃にはインプットした情報のほとんどを覚えていません。

つまり、インプットした直後は忘却スピードが急速だけど、その後緩やかになっていくのです。

ということは、インプットした情報を忘れない為に、なるべく早く復習しなければいけませんよね。これは短期記憶を長期記憶化させることに他なりません。

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肝心の復習のタイミングですが、1カ月ベースで考えると復習タイミングの管理がしやすいです。

僕は以下の5段階で実施しています。

  • 翌日
  • 1週間後
  • 2週間後
  • 3週間後
  • 1か月後

くれぐれもですが、1カ月の間に一回も復習しなかったなんてことがないようにして下さいね。

その場合、先述したように使われなくなったシナプスが消滅してしまうため神経細胞の繋がりがなくなります。

そうするとまたイチからシナプスを作らなければいけないので、1カ月前のインプット作業が全くのムダになります。

ドーパミンの活用

とはいえ、復習という同じことを繰り返す作業は続かないものでもありますよね。

初めこそやる気はあったけど、徐々にフェードアウトしていき、いつしかやらなくなってしまったことなんてザラに起きます。

復習とはこのように継続性が難しいとされる行為。

それならば、ちょっと脳プログラムの力を借りましょう。

今までやる気が一向に起きなかった復習を何故かしたくなるように、ある脳内物質を使うことにします。

それが神経伝達物質「ドーパミン」です。

ドーパミンは麻薬と似た分子構造を持っており、僕たちに快感を味あわせてくれます。

これは脳内の無髄神経系細胞から放出されたドーパミンが、脳の司令塔「前頭連合野」に届くことで発生されます。

感情機能を統合する役割も担っている前頭連合野が、快楽性のあるドーパミンを吸収するのですから、効果は絶大というわけです。

このドーパミンが分泌されると、僕たちに多幸感、集中力、意欲、といったポジティブなプレゼントをしてくれます。

つまり、復習の際にドーパミンが分泌されると、もっとやりたいという意欲が生まれるのです。

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ではどうやったらドーパミンが発生するのか。

  • 美味しいモノを食べる
  • 仕事で成功する
  • 上司に褒められる
  • 恋愛をする

こういった事象が発生するとドーパミンが発生して、また同じ気分を味わいたいと思うようになります。

脳科学では報酬系のシステムと呼ばれており、これこそ原始の頃のプログラムです。

ここで少し原始の頃に立ち返って、先ほど挙げた現代の4つの嬉しい事象を以下3つに大分類しました。

  • 食事をする
  • 集団生活
  • 子を作る

生きる為には食事をしなければいけない。

誰かと関わり合うことで形成される集団生活は生きる上での必須条件で、1人では安全性を保つことは到底出来ない。

そして子を作ることは人類繁栄の根本だ。

全ては生きるため。生きて次世代へ人類の遺伝子を残す為の行為です。

脳内に仕込まれたプログラムが種の繁栄のために、快感という報酬=ご褒美を与えて、また同じことをさせているわけです。

勉強の復習、反復練習においては、「勉強の効果を得られたと感じる」がドーパミン分泌を促します。なので達成目標を出来るだけ細分化しましょう。

大きすぎる目標を設定しまうと、勉強効果を感じることが出来ない為に、ドーパミンの恩恵にあずかれません。そうすると最悪挫折に繫がります。

目標を細分化し、一つ一つの目標を達成する度に意欲を高めていき、最後には最終目標を達成する作戦です。

ここで大切なポイントが1つ。

細分化された目標が小さすぎては、ドーパミンが出ないということです。

また目標が大きすぎても先述したようにダメです。

ポイントは、ちょっとだけ自分に負荷がかかるレベルの目標を設定することです。

すると勉強の効果を得られたと感じ、また挫折することなく、次の目標へと向かえます。

この脳内"麻薬"、使わない手はありませんよ。

日常化

これまで脳科学の見地から復習、反復練習の大切さを解説してきました。

僕が考える反復練習の最終形態は「日常化」です。

つまり、復習するのが当たり前の状態にするということです。

ここでもう一度原始の頃に立ち返りましょう。

原始の人々は、毎日の狩猟行為で、獲物を仕留めるたびにその技が鍛えられてきました。

これはまぎれもなく反復練習の賜物です。

ですが、彼らには「反復練習」の概念などそもそも存在していないのです。

ただ当たり前のことを毎日やっているだけなんです。

それが彼らにとっての日常、ライフスタイル。

僕たちも反復練習をそのレベルにまで昇華させることができたら、どれだけの学習効果を得られるでしょうか。

例えば毎日英語やプログラミングの学習をしていくとします。

それを洗濯や食事、本読み、ゲームのように日々の習慣事とするんです。

もう毎日するのが当たり前、逆にしていない方が違和感を覚えるくらいに習慣付いてくると、しめたもの。

その頃には圧倒的なスキルが身についているはずです。

まとめ

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さていかでしたでしょうか。

 それでは最後にまとめます。

  • 情報をインプットすると、電気信号となった情報を伝達するために神経細胞間の繋がりが発生
  • 神経細胞間の繋がりにはシナプスが必要。つまり情報のインプットとはシナプスを増やすこと
  • 再び電気信号を通す、すなわち復習するたびにシナプスは強化されその働きが増す。そうすると長期記憶が出来上がる
  • シナプスは強化もされるが、電気信号が通らない、すなわち復習しないと消滅する。
  • 復習は一カ月の内に4回から5回行う
  • 復習する際に強力な手助けとなる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌させる
  • ドーパミンを分泌させるために、目標を細分化。ただし、適度に負荷がかかるぐらいの大きさにする
  • 復習、ひいては学習を日常化することで、圧倒的なスキルを手に入れる

 

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

次回は学習法その②を予定しています。

脳プログラムでNOプロブレム!